瀬川陣市 フォトグラファー 公式サイト

フォトライフコンシェルジュとして 写真家・講師・ライター などで活躍、フォトララ写真未来研究所代表

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150年前の幕末明治初期の日本の風景

2018年は明治維新から数えて150周年。「明治維新150年」というキャッチフレーズで記念事業が行われていたりや関連出版物が出版されたりしています。その中のひとつとして150年前の幕末の風景写真をまとめた写真集が出版されています。今回はその写真集と関連本について紹介いたします。

NHKスペシャル「シリーズ 大江戸」に取り上げられた「150年前の幕末明治初期日本」

2018年4月に放送されたNHKスペシャル「シリーズ 大江戸 第1集 世界最大!! サムライが築いた“水の都” 」では、繊細な描写で写る幕末の江戸の写真が紹介されます。番組はその写真の中でも江戸城南の武家屋敷を写した一枚にクローズアップして進行していきます。

1859-60年代ごろのガラスネガに写る江戸の街は鮮明に現代に当時の様子を見せてくれています。ガラスネガからさらに部分拡大することで当時の人々の生活の一部なども垣間見ることができます。番組で紹介される写真を見ているだけでもあまりの鮮明さに興奮を覚えたほどです。

その写真をまとめた写真集が出版されています。それが「高精細画像で甦る 150年前の幕末・明治初期日本 ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション」。

オーストリアで発見されたこれらのガラスネガを東京大学の古写真研究プロジェクトチームが現地調査した写真をまとめた一冊です。A4判の大きなサイズでできる限り大きく写真を見せてくれています。この写真集の特徴は、ガラスネガを8000万画素のデジタル撮影により一部分の拡大したショットも豊富に収められているところ。

古写真を見ていると、ある部分の詳細画を見たくなるものがたくさんありますが、まさにそんな希望を叶えてくれる内容になっています。拡大されているのは、画面の中に写り込んでいる人々、物干し竿にかけられた洗濯物、商店の軒先に売られている品々など当時の生活様式などを知ることができる部分。実はこのような部分が見たかったという箇所を拡大してくれています。

古写真に残るのは風景写真や人物写真が主流ですが、その中に当時の人々の息づかいが聞こえてきそうな部分もたくさん見えてくるのです。時代劇ドラマや小説などでは感じることができないリアリティのある幕末の雰囲気を直に感じ取れる貴重な写真が多く収録されている一冊です。

幕末の日本を写したオーストリアの写真家・モーザー

これらの写真を撮影をした写真家も特定されています。オーストリアの写真家、ミヒャエル・モーザーがその人。明治2年に16歳でオーストリアからやってきたモーザーが江戸をはじめ日本各地を撮影。そのときのガラスネガがモーザーの故郷であるオーストリア、バート・アウスゼーに遺っていたわけです。これまであまり注目されてこなかったモーゼ―の写真ですが、今回の幕末150周年に合わせて大きくクローズアップされることになりました。

モーゼ―の足取りなど写真家としての彼の足跡をたどった本も出版されています。「明治初期日本の原風景と謎の少年写真家」。

モーゼは7年間日本に滞在して「ザ・ファーイースト」のカメラマンとして活躍するのですが、モーゼの孫が当時の様子を残された写真や手紙などを織り交ぜながら執筆しています。「150年前の幕末明治初期日本」と併せてこちらの本も読み進めていくとより幕末当時に撮影された様子が見えてきます。

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