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フォトライフコンシェルジュとして 写真家・講師・ライター などで活躍、フォトララ写真未来研究所代表

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【コラム】公共の場で人を撮るのはいけないこと!?

2016/07/20

東京ディズニーランドのウェブサイトに、「他のお客様等のご迷惑となる撮影および公衆送信」の禁止、との項目が追加されたことが先日話題になりました。有名人などをはじめ来場している特定の人が写った画像、動画をSNS等へのアップを禁止するための条項のようです。

テーマパークに限らず、公共の場にいるひとが写った写真の取り扱いについては、賛否が分かれるところ。しかし、写真を表現として撮る側としてはこれはどのように考えていくべきなのでしょうか。

かつてより道行く人や街中の人の素の一瞬の表情や動作を写し撮るという技法はあります。スナップ写真などと呼ばれる場合もあります。この方法で撮られる写真の醍醐味はレンズを意識していない人間本来の持つ表情や生活の中で見せる反応の一瞬を記録させて作品にするところです。古い時代に撮られたものでも名作と呼ばれるスナップ写真を鑑賞しているとその場に居合わせているかのような感覚に陥るほどです。

これは表現方法のひとつとして「人」を撮るという技法です。多くは写っている人に事前に断りはなく撮られていることでしょう。

しかし、このスナップ撮影も最近では撮られる側の肖像権についての認識も高まり、改めるべきではという意見も見受けるようになりました。エチケットマナーの観点からすれば当然控えるべき行為と言わざるを得ないでしょう。

ただ、写真をアートの表現方法のひとつとして考えたときにその場に居合わせた人を画面に写すことは避けなければならないのかと問われると表現の自由とはなんだろうというところまで考えは及んでしまいます。

写真を撮る表現者側からひとつ提案をするならば、公共の場にいる人が写る撮影そのものもと写真の使い方が「迷惑となる行為」とされるにはそれなりの悪意が込められて行われている場合に限って欲しいということ。

明確にテーマを持って撮影している人は、その場に居合わせた人が被写体だと感じたときには断ることなくシャッターを切ります。それは撮影するのにそれだけの大義名分を持っているから。もし撮影された後に問われてもどういう経緯で撮影に及んだのかを説明することができるだけの自信があるはずです。

名作と言われるスナップ作品を見ていてもどれも写っているをおとしめようとか単なる興味の対象で写しているものではないことははっきりわかります。

公共の場にいる人を撮影する際の撮影してもその写真をどのように扱うのかというところのモラルが問われるのだと思います。ただ現在のネット環境で誰しもが簡単に撮影して公開できる時代に「モラルを守ってください」という標語だけでは規制できなくなっているのも事実。それがあって今回のディズニーランド禁止項目にも入れられたのではないでしょうか。

ただ写真での表現の自由というものがある以上、できればモラルを守るということをガイドラインとしてもらいたいというのが個人的な意見です。

デジタルカメラが発達してほとんどの携帯電話、スマートフォンにカメラが付いていて、誰しもがいつでも写真を撮ることが出来る時代、写真の撮り方、扱い方が難しい時代になってきていることは事実です。時代に即したモラルの提言も必要になってきています。

スナップ撮影をする写真家でも必ず声掛けをして撮影するコンタクトを取ってからシャッターを切るという方も多くいます。すべてのスナップ写真を撮る写真家が断りなく人物を撮っているわけではないということもご承知ください。

Jun-07 2013 Up

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