撮影へのヒントが詰まった一冊 「レンズとマイク」 大石芳野 永六輔 著
2016/07/21
「レンズとマイク」の表紙。帯に「ぼくは写真嫌い。」の永さんの言葉が目を引く。
この本は、写真家大石芳野さんとタレント永六輔さんによるトークイベントの内容と大石さんが永さんを撮りためていた写真をまとめたもの。
写真家との対談の本なのにが「ぼくは写真嫌い。」という永さんの言葉がかなりセンセーショナルに感じる。
ドキュメンタリー写真家の大石さんは、震災後の福島や戦跡などのテーマを撮り続けている方。そしておなじみの永六輔さんは、ラジオ、テレビの創成期から放送作家などからスタートし多方面で活躍中。
本書は、永さんが写真を撮ることや写真について問いかけて大石さんが答えるというのが基本的な流れで進んでいく内容。
特に写真に興味がある方にとっては、写真を撮ること、撮られることとはということについて様々な切り口から語られているところは撮影するときのヒントになるはず。ドキュメンタリー写真家のアプローチ方法が垣間見られるところもとても貴重な内容だ。
写真を撮り続けることとはどういうことだろうかと壁にぶつかっている人たちには光が見つかるかもしれない。
この会話の中には、永さんが知る時代ごとの出来事や広い人脈からのエピソードがふんだんに出てきて、初めて知ることも少なくない。永さんならではの世の中の見方も読んでいるとこれまであまり意識が向かなかった分野のことも興味が湧いてくる。このあたりは永さんの語りのなせるとこだと思う。
そして、大石さんの撮られた永さんの写真が50点ほど掲載されている。眺めていて思うのは、永さんは被写体としても抜群に優れているということ。ほんとうに見ていて絵になるひと。それを撮っている大石さんの写真家としての技量ももちろん評価しないといけないが、永さんの魅せる存在感がを感じられる写真を見ているだけでも楽しい。
大石さんと永さんをよく知らないという方も一読するとなにかのエピソードまたは写真が記憶に焼きつくはず。そんな一冊。
Apr-14 2016 Up
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