岩波写真文庫
2019/02/19
1950年6月から「物語る写真」「眼でみる百科」のキャッチコピーで刊行された岩波写真文庫。
戦後5年目に作られた写真誌には、若い世代には「知らなかった日本の姿」が刻まれています。
そしていま、この岩波写真文庫から何冊かが復刻版として発行されました。
写真がかつての日本を伝えてくれるこの岩波写真文庫をご紹介しましょう。
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コレクションとしての復刻版
岩波写真文庫は、1950年6月に発行され、以降8年半の間に286冊が刊行されました。
その中から赤瀬川原平、田中長徳、川本三郎らが独自の視点から選んだものをコレクションシリーズとして復刻させたのが、今回の復刻版です。
右側が復刻版。左側は当時のオリジナル本。サイズなどまったく同じ体裁で復刻されています。
写真にある復刻版は、日本―一九五五年十月八日。
復刻版より赤瀬川原平コレクションのシリーズ内容。赤瀬川氏は全10冊をセレクトしています。
オリジナル本を見てみる
神田の古書街で岩波写真文庫のオリジナル本を見つけることができたので興味あるタイトルを入手しました。
「写真文庫」と名づけられているように写真が中心のこのシリーズ。写真の質はとても高いものです。
クレジットを見てみると「写真 岩波映画製作所」とありました。岩波映画の撮影部が担当しているところからも写真の質が高いのもうなずけるところです。
オリジナル本で気がついた部分をいくつかピックアップしてみます。
「地図の知識」のオリジナル本の誌面。B6判というコンパクトなサイズの誌面ながら中味は写真中心で構成。見ているだけで内容は大まかに理解できるようになっている。
オリジナル本の裏表紙から。岩波写真文庫の目安として一冊平均200枚の写真を掲載していることを謳っています。当時としてはこれだけ写真が中心の冊子は珍しかったのではないでしょうか?
オリジナル本の裏表紙にあるシリーズ紹介の項。テーマも地域や日常生活のこと、日本についてなど多岐に渡っています。出来れば全シリーズを見てみたい。
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写真で過去を知ること
この時期に1950年代の岩波写真文庫が復刻されたことはとても意義深いものが感じられます。
営業的には、昭和30年代ブームに乗り、1950年代もという波を追いかけたのかもしれませんが、それだけではなく戦後間もない日本を知らない世代にとって、テーマごとに写真で当時のことを知らせてくれる資料はそうはありません。
写真雑誌ということで、このフォトライフコンシェルジュでも取り上げましたが、それ以前に日本人として過去を知っておく大切さや意義というものがあるのではないかとこの岩波写真文庫を見ていると感じてきます。
戦後から現代に至るまでの初期のころ、人々はどのようにこの日本を復興させてきたのか、ここに写っている写真一枚一枚が物語っています。
写真は過去を伝えるものという写真の持つ意義を伝えてくれるとともに知っておくべきかつての日本の姿がここには詰まっています。
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