JALキャビンアテンダント客室訓練部見学
2016/09/12
「JAL機体整備工場見学会」に引き続いて、JALのキャビンアテンダント(以下CA)、少し前の言い方でいえばスチュワーデスの養成施設、客室訓練部の見学をさせてもらいました。
この客室訓練部の見学は、法人向けに公開することはあるものの通常の見学コースでは見ることはできないものです。
今回はリンクシェア主催の見学会ということで、ウェブでのレビュー前提での取材見学をさせてもらえました。
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JALのCA目標は"気さくで美人"
JALのCAの客室訓練部の見学では、まず「客室乗務員ができるまで」のタイトルで、CAが現場に立つまでにどのような訓練を受けるのかについての概要の説明を受けます。
ここでJALのCAの目標にしているフレーズを教えてもらいました。
それとは「気さくで美人」。気さくとは、誰からも話しかけられるような雰囲気を保つことを指しているとのこと。
そして、美人という意味は、見た目の美しさを主に指すのではなく、技量の高いおもてなし、一人前の心のこもったサービスをできる人を美人と例えているとのこと。
その「気さくで美人」はどのような場所で鍛えられているのか見てきました。
見学前に客室乗務員がどのようなトレーニングを受けるのか概要を聞きます。ここで、「気さくで美人」の解説も。
客室訓練部の教室のひとつ。窓の外には羽田空港の滑走路を見ることができます。毎日飛行機の飛び立つのを横目に新たなCAが育っています。
カートからの食器の出し方などを解説中。
解説はもちろん現役CAの方です。
ドリンクを作るときの目安の分量の見本。アルコールの作り方の授業は一日の終わりに組まれていて、最後自分で作ったものを飲むのが訓練生の楽しみだとか。
こちらは一見楽屋のような部屋。ここはメークアップを学ぶところ。照明も夜の機内の明るさに設定もでき、その明るさで映えるメークも習うとのこと。
座り方も脚を揃えてする割るのが基本形。そのきれいな座りの方の見本を見せてくれているところ。
モックアップでビジネスクラス体験
訓練部の階には、機内の客室のモックアップ(模型)が作られています。
ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの各グレードごとにあり、それぞれの仕事をここで学びます。
今回はビジネスクラスでのサービスを本番さながらで体験させてもらうことができました。
JALの機体を模したモックアップ。室内に各グレードの座席が作られています。
こちらはビジネスクラスの座席になります。
そして、こちらがエコノミークラス。
実際にビジネスクラスシートに座り、本番と同じようにサービスを受けます。おつまみが配られているところ。
この日は今年の4月実際の機内でサーブされるというシャンパンをいただきました。
ビジネスクラスのサービスを受けながら、キャビンスーパーバイザーから客室乗務員の仕事の内容について詳しく解説も受けます。実際の仕事は聞けばかなりハード。
モックアップ前には、歴代のユニフォームが展示。中でも、このユニフォームは、ドラマ「スチュワーデス物語」の中で堀ちえみさんが着用したもの。
昔のスチュワーデスも帽子もセットで制服でした。鶴丸マークはやはり懐かしい。
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緊急事態発生!海上着陸準備せよ!
ビジネスクラスでの楽しいひと時が終わると今度はエコノミークラスの座席に移動。いきなり現実に戻されたかのような少し悲しい気持にもなりつつ、さて何が始まるかと思っていると、いきなり画面上に機長からのアナウンス。
「当機は、エンジントラブルのため海上に緊急着陸することにいたしました。」という内容。
海上に到達する時間が設定され、それまでに客室乗務員の指示に従い、非難するようにとのお達し。
この場面どこかで見たことあると思ったら、この日のための予習にと前日に見た映画「ハッピーフライト」にも同じような場面があったのを思い出しました。
さぁ、私たち乗客は、ここから脱出を試みなければなりません。
緊急事態になり、避難誘導のため担当CAが内容確認。的確に短く必要事項を伝達します。
緊急事態の中での前屈での避難姿勢のレクチャー。肩幅に足を開き、前のシートに頭を伏せます。
続いて救命胴衣の使い方の説明。今までフライト前にビデオや実演で見慣れていても使用するのは初めての体験だけに戸惑いながらの着用に。
客席をまわり救命胴衣の着用をヘルプ。
訓練ながらかなり緊迫した空気が流れるモックアップの機内。
脱出時に手助けしてもらう人員に素早く手順を指示。
そして、この段階までで海上に不時着する時間間際になり、全員前傾避難姿勢を取り、衝撃に備えます。
その間、CAたちは大声で
「頭を下げて!」
「Head Down」
と、日本語と英語で連呼。
しばらくすると衝撃音とともに室内灯がついたり消えたり。この時点が水上に不時着した瞬間。
すぐに非常ドアを開き、乗員の避難誘導があり、非難を開始。
この間は、緊張感が高まり、実際にこのような場面になったらとイメージすることで緊迫しました。
救命胴衣をつけた乗員全員が避難完了。海上なので避難ボートに乗り込んでいるという設定。
緊急避難訓練が終わり、CA、キャプテンから総評などを。実際に起こった場合のリアルな話も聞けました。
半日使ってのJALの見学メニューはここまで。通常では体験できないことを知れたことは大きな収穫。飛行機に携わる人たちを見る目もこの日で変わった気がします。
JALに思うこと
見学終了後にいただいた手書きのメッセージカード。JAL破綻後、乗客に向けて手書きのメッセージカードをJAL社員が書いているというニュースの報道も聞いてました。さて、今後のJALは・・・
今回の見学も通していまのJALに感じたことを最後に少し書いてみたいと思います。
見学では、各スタッフの方々からはそれはそれは丁寧に対応していただき、直接の質問に対しても出来る限りの範囲で生の声も聞かせてもらえたと感じています。
一人ひとりの社員の方々は、今回の破綻後は、それこそもう後がないという覚悟を持って職務に当たられているのだろうとも思います。
それが、今回いただいた手書きのメッセージカードや乗客に配っているメッセージカードを作ろうという行為に表れているのかとも思いました。
しかし、もう少し早く日ごろから、手書きのカードまでは書かなくても、それに値するくらいの気持ちが経営する側の人たちが持ち、各現場のスタッフに浸透させていたら、少なくとも破綻にまではいかなかったのではないかと思うのです。そんな簡単なことだけで、国を代表する航空会社の経営がうまくできたわけはないとは思いますが、なにか大事な要素がそこにあるのではないかと思うのです。
私が飛行機を使う乗客の一人として感じていたことは、どこかJALには、なんとも言えない冷たさがあるということでした。それはなぜだかはわかりません。
もし、そのどこか冷たいと感じさせてくれていたものが今回の破綻の原因のひとつであるのであれば、ぜひこの機会に一掃していただければと思います。
今回、見学に同行してくれた整備士の方、パイロットのキャプテン、CAの方々、みんなとても温かい方ばかりでした。個人レベルではなにも問題はないのです。これらの方たちを束ねたJALという会社になったときに各人のその温かさを乗客にまで伝わらせてくれるか、もしそれが自然と出てくるものであれば、きっと多くの人はこれから乗る飛行機にJALを選ぶのではないでしょうか。
ぜひ、これからJALには日本人としても誇れるエアラインとして生まれ変わって欲しいと切に願ってます。
がんばれJAL!
Feb-14 2010 Up
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