こども写真の名作古典はコレだっ!
2019/02/04
子どもが題材になっている写真作品はたくさんありますが、その中でも古典と呼んでいいくらいの名作の写真集を二点ご紹介しましょう。
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アラーキーのデビュー作 『さっちん』
アラーキーこと荒木 経惟氏、写真に特に興味はなくても一度はその名耳にしたことがあるのではないでしょうか。
アラーキーの写真と聞いてどんな想像をしますか?どうしても奇抜な作風やヌード写真からエロスのイメージが一般的にはあるかもしれません。
そんな奇才アラーキーのデビュー作は、実は子どもを被写体に撮った作品なのです。その名も『さっちん』。東京の下町に遊ぶ子どもたちの中にアラーキーは自分の姿を見つけたといいます。さっちんはまさに自分そのものということらしい。
その写真は、いまにも写真から飛び出してきそうなほどの勢いを表現した作品。この作品が1964年の雑誌『太陽』の第一回太陽賞受賞作となります。写真家アラーキーの誕生です。『さっちん』に見られる作風はいまのアラーキーの作品にも色濃く残っています。アラーキーのギラギラしたエネルギーを持って被写体と交流しているのが伝わる作品。
瀬川は一度渋谷の公園通りでアラーキーとすれ違ったことがあるのですが、そのときのアラーキーが放つ"黒く太いエネルギー"は忘れられません。なぜ"黒く太い"か、それはよくわからないのですが、言い表すならそんな感じがよく似合うかなと。
この『さっちん』は、現在でも復刻されて販売されています。アラーキーはなんとなく怖くて近づけない方への入門書としてぜひオススメです。
37年経って日本で出版化 『たかちゃんとぼく』
アラーキーの『さっちん』とは対照的な作風なのが、細江英公氏の『たかちゃんとぼく』。
『さっちん』がドキュメンタリーなのに対して、『たかちゃん』はフィクション。それも原案はアメリカ人作家。
突然アメリカ人作家の女性が細江氏に撮影依頼をしてきたという。このストーリーの写真を撮ってほしいという依頼で撮られたのが『たかちゃんとぼく』。
アメリカに住んでいる犬が海岸の砂浜を彫っているうちに日本の海岸になぜか出てしまった。そこででくわしたのがたかちゃん。たかちゃんと犬のショートストーリー。それを見事に撮り下ろしたのがこの写真絵本。
少女役のたかちゃんと犬の表情が光ってます。フィクションで撮ったとは思えないほど、自然なシーンに感動を覚えました。これが撮られたのが1960年。アメリカではすぐに出版化されたという。しかし、日本で出版されたのがそれから実に37年経ってからというのが不思議というか驚きです。
この作品には、1960年という古さはまったく感じさせません。デザインでもなんでもそうですが、研ぎ澄まされたものは古びないということではないでしょうか。
『たかちゃんとぼく』ストーリーを楽しむとともに写真の質の高さも楽しんでみてください。
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