ダイアログ・イン・ザ・ダーク
2019/02/06
ダイアログ・イン・ザ・ダーク、光がまったくない空間を視覚以外の感覚を使って体験するワークショップです。
暗闇に行動するとは、写真を撮ることとは、まったく正反対の行動。ですが、この体験が写真を撮ることにいろんな気づきを与えてくれました。その体験記をご紹介しましょう。
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見えない世界で見えてくるもの
ダイアログ・イン・ザ・ダーク2007の会場は、旧赤坂小学校。学校校舎を使ってのワークショップです。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、1989年ドイツのハイネッケ博士のアイディアで生まれたワークショップです。視覚に頼らないことで他の感覚を改めて感じることが出来ます。
本当に光ひとつが見えない世界では、使えない視覚を補うため聴覚、臭覚、触覚、味覚をこれまで以上にフル活動させます。
この残りの四感に敏感になることは、人間の持っている潜在的能力を呼び覚ますような感覚といっていいでしょう。
私たちが写真を撮るときは、当たり前のように目で見ているものをそのまま撮影します。被写体を探すときも、目で探します。でも本当は、視覚以外の感覚で感じることが大事であるということに、このダイアログ・イン・ザ・ダークのワークショップは気がつかせてくれます。
目で探すことばかりに頼ることで、逆に見えなくしているのではないか。
目に見えていることを過信しすぎ、他の感覚で感じていることを軽視して過ごしていることも改めて気がつかせてくれます。想像力を持つということに知らないうちに鈍くなっていたことを痛感します。
一度見えない世界を体験すると、改めていろんなことが見えてくる。このことがダイアログ・イン・ザ・ダークの発案者の提案なんだと感じました。
なにを撮っていいのか写真のテーマに悩む方には、一度見えない世界を体験するということは道を開いてくれるきっかけになるかもしれません。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは素晴らしい機会
先に体験を終えた方はアンケートに感想を書きます。そして、これから体験する方たちはドキドキしながら順番を待ちます。
ダイアログ・イン・ザ・ダークのワークショップの内容を簡単に説明しておきましょう。
参加者8人が一組となり、アテンドと呼ばれる視覚障害のある方が案内人となって、参加者を誘導してくれます。
まったくの暗闇の中で行動をするので、頼りになるのはお互いの声のみ。つまり会話でコミュニケーションを取らないと一緒に行動ができません。ここで一緒な組みになった8人は自然と仲が密になっていきます。
コミュニケーションが取りやすいよう、最初自己紹介が行われ、それぞれ呼んで欲しいニックネームを伝えてから始まります。雰囲気もやわらかく参加者が過ごしやすいように誘導してくれるので、緊張感は次第になくなっていきます。
そして、いよいよまったく光のない世界へ・・・
実際に瀬川が体験したときは、暗闇に入ってしばらくして、軽くパニックに陥りそうになりました。まったく見えないことで、どこかに閉じ込められたような軽い閉所恐怖症に似た感覚だったかもしれません。それも気持ちを落ち着かせ、その後はまったく気持ちが焦ることはありませんでした。
途中、杖を渡されるのですが、この杖が自分の手の指先代わりになります。街中で見かける白い杖をもった視覚障害者の行動がこのときによく理解できます。杖があることで行動範囲が広がるのです。
アテンドがいるので、ある程度安心して暗闇の中を行動でき、慣れてくるに従い暗闇が楽しくもなってきます。最初はパニックも陥りそうになった自分がそれを楽しめるようにもなっている、人間気持ちの持ちようで両極どちらにでもいけということですね。
そして、もうひとつ感じたのが、アテンドしてくれた視覚障害者の方の存在の大きさ。視覚障害者だけでなく、いろんな障害の持つ方も世の中で活躍できることはまだたくさんあるのではないか、そんなことも感じました。
このダイアログ・イン・ザ・ダーク、現在は期間限定で毎年開催されていますが、将来的には常設開催も目指されているとのこと。こういう機会は多くの方に体験してもらいたいと思います。ぜひ、多くの場所で常設されることを期待します。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク、ぜひ一度体験されてみてください。撮られる写真作品にも体験後は影響を及ぼしてくれるかもしれません。
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