大原治雄写真展「ブラジルの光、家族の風景」
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神戸の移住ミュージアムは建物も内容も見どころ
神戸の三宮に行ったときに海外移住と文化の交流センターの前を通りかかったところ、こんな看板を見つけました。「大原治雄写真展」、以前NHKの日曜美術館での特集番組を見たのをすぐに思い出したのと同時に偶然写真展が行われていることにこれはラッキー!と心の中で小さくガッツポーズ。
この写真展の会場となっている海外移住と文化の交流センターは、1971年まで日本からの海外移民の基地となっていた建物。設立当時は、国立移民収容所と呼ばれ移民する前にはこの建物で移民についての研修を受けたり、健康診断を受けたりして1週間ほど滞在することが義務付けられていたそうです。この地を後にして神戸港からそれぞれ移民する国へと旅立っていったということです。
その建物を整備して移民博物館としての展示や在日ブラジル人のコミュニティースペースやアートスペースとして現在活用されています。
再整備はされているものの1928年建築のこの建物は、歴史建造物としても見どころがあります。時代を感じられる造りが端々にあり、被写体としても絶好の建物。建物を見に来るだけでも価値があります。
この建物のベースになっているのは、移住ミュージアムです。日本からの移民についての歴史をたどれる内容になっているのですが、その中のひとつに当時の収容室を再現した部屋があります。家族単位でこのようなベットを敷き詰められた部屋で船に乗るまで過ごしたらしいのですが、この部屋を見ていろんなことを考えさせられました。
移民する大方の目的は日本では思うような仕事などには就けずに海外に新天地を目指していくというのがほとんど。そのような状況下で自分だったらこの部屋で過ごす最後の1週間はどんなことを思うだろうか。もう戻ってこれないかもしれない祖国日本。新天地への希望より、寂しさのほうが大きく気持ちにのしかかってきそうに思われました。
ぜひ一度この海外移住と文化の交流センターにある移住ミュージアムの見学はお勧めします。
海外移住と文化の交流センター
大原治雄写真展「ブラジルの光、家族の風景」
ブラジル移民を送った施設の海外移住と文化の交流センターを会場にして大原治雄写真展「ブラジルの光、家族の風景」は開催されています。
NHKの日曜美術館で作品は見ていてたのですが、オリジナルプリントを見るのは初めてです。
大原氏の写真は移民したブラジルの大地で家族を中心にして撮られた作品。子供たちをモデルにブラジルの風景を切り取った写真には、日本人の感性と南米の空気が混ざったような雰囲気がただようかのようです。また働いていた農園は彼のスタジオであっただろうと作品を見ながら感じました。
大原氏の作品が並んでいる会場風景。作品を見るとともに大原氏の年表を読んでいくと、写真を撮影し始めたきっかけになったのが大原氏の結婚式を現地で撮ってもらった写真家との出会いと書いてあるのに気が付きました。この写真家とは町で移動写真屋を営むジョゼ・ジュリアーニ。移動写真屋とはたぶん町中にカメラを持って客を取って撮影していたようなものだろうと大原氏がジュリアーニを撮った写真が展示されていてその一枚から想像できます。
ひとりの写真家が写真を始める動機などのバックグラウンドについては興味深く、大原氏とジュリアーニの関係性やどんなことを教えてもらったのかなども知りたいところです。NHKの番組によれば大原氏は4年間お金を貯めて自分のカメラを手に入れたとのこと。年表にはジュリアーニからカメラを手に入れたとあるので、彼から購入したのかもしれません。きっとこの4年間はカメラを手に入れたらこんな写真を撮ろうとあれこれ考える最も楽しい時期だったのではないでしょうか。
海外移住と文化の交流センターにおいての大原治雄写真展「ブラジルの光、家族の風景」展は下記の日時で開催しています。神戸での展示が日本では最後の写真展になるとのこと。
2018年2月17日(土)~5月6日(日)。写真展の詳細はリンク先からどうぞ。
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