瀬川陣市 フォトグラファー 公式サイト

フォトライフコンシェルジュとして 写真家・講師・ライター などで活躍、フォトララ写真未来研究所代表

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ヘリテージ

廃墟の女王「マヤカン」旧摩耶観光ホテルを撮って考えたこと

2023/01/16

廃墟探訪が流行り始めて久しくなりますが、その廃墟の女王とも謳われる「マヤカン」に行ってきました。人気の廃墟は、その評判通りの独特の気品を放ちその撮影にも夢中になりながらも様々なことを考えさせてくれました。廃墟の撮影で気づいたことを少し語ります。

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廃墟のアーカイブの必要性

「マヤカン」こと旧摩耶観光ホテルへは現在立ち入り禁止になっています。防犯セキュリティが完備されていて無断で入ることはできません。今回ここに入れたのは、神戸観光局が主催するプレツアーに参加したことからできたものです。

そして「摩耶再生の会」の慈さんのガイドのもとで「マヤカン」の中に立ち入り、撮影することができました。

「マヤカン」の経歴を簡単に解説します。昭和4年(1929年)に神戸六甲山に摩耶山温泉として開業した後、戦争が始まってからは営業が休止になります。その後昭和36年(1961年)摩耶観光ホテルとして営業再開しますが、昭和42年(1967年)に台風被害により休業になります。摩耶観光ホテルとしての営業期間は実質この6年間だけです。それから宿泊施設などとして使用されますが、平成5年(1993年)に閉鎖してからは廃墟の状態となり現在に至ります。

「マヤカン」についての解説は他でも多くが語られているので、ここでは略史を紹介することで留めておきます。

「マヤカン」はなぜ今日に至るまで廃墟の姿として残っているのか、今回ガイドをしてくれた慈さんの話しによればこの建物を更地にするには莫大な費用がかかるとのこと。そして持ち主はその費用をかけてまでここを更地にするつもりはないそうで、したがって朽ち果てながらも現存した状態で残っているとのことでした。

廃墟の建物が生まれる理由のひとつは経済的なことから空き家になった後も手付かずの期間が長かったからという背景があることが見えてきます。

反対に歴史的背景のある建築物が周辺住民らによる存続運動があっても取り壊される建物は少なくありません。

残ってしまった建物、残してほしかったけど消えてしまった建物、どちらも課題はありますが現存している間に記録に留めておく必要性を強く感じます。そのために活用できるのが画像や映像に残せることではないでしょうか。

写真を撮ることは記録として残すこと、アーカイブとも言いますが記録して次の世代に引き継いでいくことが常に必要ということを感じました。

「マヤカン」も年々と様々な場所が朽ちているそうで、いまの状態のままで保存することは不可能だそうです。建物も生き物と同じで刻々と変化していることに気がつけば一日一日の状態を記録して残していく、それがせめて廃墟を目の前にした私たちにできることではないでしょうか。

余談ですが、廃墟の女王が「マヤカン」と言われていると書きましたが、廃墟のキングもいるそうです。それは長崎の軍艦島とのこと。軍艦島も数年前に訪問したことがあり、これでキングと女王に出会えたことになりました。めでたし。

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